フードメディア・ディレクターの福田美佐子です。
近頃小田急線エリア、特に下北沢以降の郊外に注目のお店が増えてきたと思います。向ヶ丘遊園の「Variante (ヴァリアンテ)」さんはもちろんのこと、喜多見の「ビートイート」、千歳船橋の「五明 ごみょ」などなど、気になるお店がたくさんあります。
そんな気になるエリアでノーマークだったこちらのお店、某有名な和食店で修行された方がいらっしゃるということで期待大でお伺いしました。
立地はとてもよく、すごく分かりやすい場所。黒い外観が目立っております。店内は昭和なカウンターのみで、昔はお寿司屋さん?だったのでしょうか。
この日は常連さんとご一緒だったので、お任せコースで出していただくことに。まずはお通しに「馬刺の握り、鶏レバーパテ」がでてきました。
こちらは日本酒のチョイスもよいということで、ビールはスキップで日本酒から。「貴 特別純米ふかまり」。秋のひやおろしなのですが、ネーミングを変えたみたいですね。山田錦のコクとまろやかな旨味が熟したお酒で、最初は冷や、次はぬる燗がいいみたい。お料理にも合わせやすそう。
そして「スッポンのスープ」が出てきました。プルプルなスッポンに、鳥とスッポンのお出汁、そしてほんのりと生姜が利いていてかなり上品な味わい。とにかくお出しが素敵なのです!
友人達が飲んでいた日本酒も少しお味見。「みむろ杉 純米吟醸 雄町 無濾過生原酒」。フレッシュでラムネなニュアンス、ジューシーな旨味、雄町らしいふくよかなコクがいい感じ。
コースの串がでてきました。お任せの場合、そのときのおすすめなレアなものを出してくださるそう。1本目は「鴨のささみ」。鴨のささみって色白なんですね。ぎゅっとした肉質に上品な鴨の味わい。火入れも潮加減も抜群です。
「丹波黒鶏モモ」。こちらはスタンダードな串ですが、肉質がやっぱりいいですね。しっかりと旨味が詰まっている感じ。
「天青 吟望 秋おりがらみ 純米」。秋のおりがらみ、まろやかさと酸味がいい感じで、最後はちゃんとキレもあります。脂ののったお料理に合わせたいかも。
そんなことを思っていると「丹波黒鶏レバー」がでてきました。レバーって実はそんなに得意ではないのですが、こちらのはすごくいい。レバーの新鮮さを抜群の火入れとタレが一体となってかなり美味しい仕上がり。おりがらみとも合います。
「鶏皮ポン酢」。肉厚な皮は炭火で炙られており、焼きの香りがついています。さっぱりとしっかりといただけます。
そして大好きな「シイタケ」がちゃんと芯つきで出てきました。シイタケは芯まで美味しいので、こういう出し方は嬉しい!肉厚でシイタケ本来のうまみを楽しめました。
そして「大山軍鶏のモモ」。真っ白な肉質にびっくりしつつ、味の凝縮感にまた驚いた一本。ギューーとした旨味の塊みたい。
「イベリコ豚」は付け合わせに大根おろしとキウイをおろした物が。しっかりとした味つけされた豚はそのままでも美味しいのですが、フルーツの甘みのあるおろしを合わせるとより味の相乗効果がでますね。コレはお家でも真似したい。
「白鴻(はくこう) 四段仕込み純米酒 赤ラベル」。四段仕込みってなかなか聞きませんが、甘みと酸味のバランスが抜群で、ぬる燗でいただきました。
「スッポンの茶碗蒸し」。熱々の茶碗蒸しのお出汁は最初に出てきたスープを使っているみたい。スッポンの身も入っていて、スッポンって美味しいお出汁が出るんですね。
「つくね」。柔らかくジューシーなお肉に大葉のアクセント。タレも良く絡んでいいお味。
〆は「スッポンの焼きおにぎり」。表面はパリッと中はスッポンの旨味がじゅわっと広がるおにぎり。最後までスッポンを楽しめました。
こんなにスッポンをいただく機会などないのですが、今回はカジュアルにいただけて感激しました!そしてコースのお肉は、串ごとに違う火入れでそれぞれの部位のお肉がサイコーに美味しくいただけます。ホント何気ないお料理たちですが、どれも大満足のクオリティ。日本酒のそろえもお料理にあっており、かなり好みでした。
見た目は街の居酒屋さんですが、出てくる料理はキラリと光るものばかり。向ヶ丘遊園、侮るなかれ!ご近所の方は是非行って欲しいお店です。