フードメディア・ディレクターの福田美佐子です。
年末にちょっと面白いお店にお伺いしてきました。塚田牧場の新業態の鴨専門店で、山形の自社養鴨場から直送した鴨をつかったコース料理がいただけるとのこと。お店は中目黒駅から数分、塚田農場の建物の非常口のような入り口から入ります。
店内はカウンターにオープンキッチンとかなり好みな雰囲気で、とても活気にあふれております。お料理は2種類のコースから選べました。この日は「鴨すきコース4000円」に「ペアリングワイン5杯3000円」をお願いすることに。実はお肉の中で鴨はかなり好きなので、期待が高まります!
一杯目はビールで乾杯。前菜盛り合わせは「鴨リエット&白レバーパテ 鴨生ハム 鴨ポタージュ」がオシャレにでてきました。これだったらスパークリングにすればよかったかな。
「季節の野菜 とまと味噌」。フレッシュな生野菜に味噌とトマトをミックスしたソースでいただきます。ソースはミートソースやピザソースに近い味わいで、さっぱりしつつもコクがあってちょっと病みつき。ヘルシーな組み合わせなのに食べ応えがあって、いいですね。
2杯目はロゼワイン「Rose Clos du Tue-Boeuf(ロゼ・コー クロ・デュ・テュエ・ブッフ)」。フランスロワールのテュエ・ブッフのビオワイン!葡萄はガメイではなく、コー100%。色合いもしっかりしており、のみごたえも十分。ワインのセンス、めっちゃいいじゃないですか!
ここから鴨串焼き3種類。まずは「胸串」。きれいな赤身に辛しをつけていただきます。ジューシーで鴨肉らしい甘みと旨味がいい。やっぱり鴨美味しいな。
ワインは白に。「DOMAINE SAUMAIZE-MICHELIN POUILLY-FUISSE PENTACRINE(メーヌ ソメーズ ミシュラン プイィ フュイッセ パンタクリーヌ)」。フランスブルゴーニュのシャルドネです。熟した柑橘系果実の香り、丸みのあるふくよかな味わい、ジューシーな酸のバランスが素敵。
鴨串焼き2本目は「もも玉串」。こちらは赤身はなく、焼き鳥に近い見た目。肉質はしっかり弾力性があり、また胸肉とは違った味わい。間に挟まった玉ねぎもいい仕事をしてくれます。
鴨串焼き3本目は「塩つくね」。タレではなく塩にすることで、鴨の旨味をフルに味わえるつくね。練り込まれたネギなどが味にメリハリをつけており、ふんわりとした口当たりがたまりません。
そして鍋にあわせて赤の「Jamsheed Laneway Red(ジャムシード レーンウェイ レッド)」が出てきました。オーストラリア ヤラ・ヴァレーの新世代ワイン。生産者のギャリー氏が日本に住んでいたこともあり、日本の多様性に富んだ食事のニーズを満たすワインを意識してつくったらしい。葡萄はピノ ノ ワール60%、シラー40%、野性味を持ちつつピノの果実味がチャーミングでゴクゴク飲める赤ですね。
そしてメインの「鴨すき」。焼きしゃぶ的な感じで、鉄板を熱して鴨の脂を引いたところに、鴨肉やつくねを焼きつついただくスタイル。鴨は脂が多いので、焼くたびに脂のにおいが広がってその香りに食欲がそそられます。残った脂でお野菜を炒めていただくのもいいですね。
メインの後は日本酒に合わせる「本日の酒肴」として小皿たちがでてきました。アボガド西京漬、ポテトサラダ、鴨ベーコンと百合根、ピクルス、カボチャのマリネとちょっとづつ、お酒に合いそうなお皿が飲んべえには嬉しい。
そして日本酒は七本槍の熱燗をといわれたのですが、冷酒が好きなんですよとお伝えしたら急遽「新政 亜麻猫特別純米酒」に変更してくれました。相変わらず美味しい日本酒で、さわやかな香味、すっきりとした口当たり、甘酸っぱい味わいと若々しい酸がたまりません。
ワインセラーをみると、日本酒の場所には鍋島や風の森など素敵なラインナップが並んでいました。ワイン以外も充実していて、お酒好きにはグッときますね。
〆はラーメンはにゅうめんを選べたので「鴨にゅうめん」に。鴨の濃厚な出汁が飲んだ身体にしみ込んできます。
デザートの一口甘味として「コーヒーゼリー」がでてきました。コーヒーの苦みに生クリーム、少量ですがやっぱりデザートがあるとコースが締まる感じです。
全体的な印象としては、とにかく鴨の脂が美味しい!鴨の脂は融点が低いので身体にも残らず、すっとなじむ感じ。その鴨に合わせるワインや日本酒などもセンスよく、飲み慣れた人も満足できる内容でした。
塚田農場ときいてカジュアルなイメージが強かったのですが、大人を意識したワンランク上のスタイルで、こちらのお店はかなり好みでした。鴨好きな方&ワインや日本酒好きな方におすすめですね。
Na Camo guro (すき焼き / 中目黒駅、代官山駅、恵比寿駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.8