上北沢の住宅街に素敵な蕎麦屋さんがあると聞き、とある平日の帰りにいつもは通りすぎている駅に途中下車。はじめての駅で戸惑いながらも、踏切近くにあるシックな外観のお店を発見。大人の隠れ家という感じで、とてもいい雰囲気です。
中に入るとすでに一人客のお客さんが何人かいて、しっとりとしています。一人だったので8人くらい座れる大きな木のテーブル席のはじに案内されました。お店自体はそんなには広くないのですが、全体的に落ちついていて居心地はよさそう。
口コミでは「そば前」が楽しめるということで、まずはお酒のメニューを確認。好みの日本酒がいろいろとあるではないですか!まだ週前半ということもあり、軽めに「純米酒 写楽 900円」に。ぐい呑みは好きなのを選んでくださいということで、迷わず錫(すず)の器にしました。日本酒がまろやかになっていいんですよね、錫は。お酒は黒の片口にいれて出てきました。
そしてお酒のお供は、穴子天ぷらに。単品で頼んだら「天ぷらせいろにするとお得ですよ」とお店の女将さんが。確かに天せいろと穴子天ぷらと野菜2種がついて1400円。単品だと950円。ナイスなアドバイス通り天ぷらを日本酒のあてに、その後にせいろを出してもらうようお願いしました。
しばらくすると見目麗しい一皿が。蕎麦やの天ぷらは旨いという個人の思い込みがあるんですが、その期待を裏切らないふんわりとした穴子にさくっとした衣で旨い!お野菜はナスとヤングコーン。こちらもしゃきっとそしてさくっと美味しさを天ぷらで閉じ込めている感じです。天ぷらは天つゆではなく、お塩のほうが衣のさっくり感を楽しめるのでおすすめかな。
日本酒で天ぷらたちを楽しんだ後は、せいろそば。蕎麦は細めでしっかりとコシもあるタイプ。そば粉は茨城のものとのこと。蕎麦のやさしい風味がふわっと、そして軽やかに口の中で広がっていく。蕎麦ってこんなに美味しかったんだよねとしみじみと確認。
そして最後に、そば湯が南部鉄瓶のかわいい急須ででてきました。中に入っていたのは少しどろっとしたそば湯。爽やかな蕎麦とは対照的な蕎麦の主張がきっちりと出ているそば湯でかなりびっくりですが、濃厚なそば湯はクセになりそうです。
こちらのお店は全体的に素材の良さを引き出すような味でとっても上品。そして何と言っても器のセンスがよく、しっとりとお酒も料理も楽しめる演出がまたいい。接客自体は案外素っ気ない感じもしましたが、常連さんになるとまた違うのかもしれませんね。
住宅街にひっそりとたたずむ、大人が通いたくなる上質な蕎麦やさんでした。