フードメディアディレクターの福田です。
こちらのバーを知ったのは、代々木上原に引っ越してすぐの10年ほど前。その頃ちょうど個人的にボサノヴァにすごくはまっていて、そんな事を知っていた友人に連れられてきたのが最初でした。
当時はまだまだ隠れ家的な宇田川エリアを突き進んで、人通りがまばらな奥まですすみ、建物の敷地のような路地に入っていくとひっそりとお店が佇んでおりました。とにかく見つけにくい、隠れ家的なお店なのです。
そんなことを思い出しながら、数年ぶりに訪問。以前と比べるとお店も増え、人も歩いているような気がします。そうはいっても渋谷の中でも落ち着いて飲むには、おすすめのエリアですね。
店内に入ると、以前と変わらずボサノヴァが流れており、なんともいえないまったりとした雰囲気。最後にきたのは数年前ですが、10年前も、数年前も、この日も変わらない落ち着きと安心感が同居しているような気がします。
そして奥の一角にあるボサノヴァの名盤たち。ちなみに店内でかかっているボサノヴァもレコード盤。最初に来たときはこの一角がたまらなく好きでした。
いつもはテーブル席に座っていたのですが、この日は急にマスターと話をしたくなりカウンターへ。そういえば、こんなに思い出深いお店なのに、マスターとちゃんと話しをしたことがなかったことに気づきました。
2軒目だったので、とりあえず軽めにおすすめワインを一杯。「ドメーヌ ダンデゾン コートデュローヌ ヴィエイユ ヴィーニュ’13」。シラー100%のビオワイン。シラー特有のスパイシー感がありつつも飲み口は重くなく、濃縮したベリーの甘い香りに果実味の凝縮感が心地よい。思わずガトーショコラも頼んで、スイーツとのマリアージュがなかなかいい。
マスターには、10年前に来た際にボサノバの生演奏を聴いた事、そして数年に一度くらいはお伺いしていることなどお伝えしたしつつ、たわいのない会話で楽しみました。
そういえば、昔はお一人さまNGじゃなかったですよね?なんてお話をしたら、いろいろありまして。。。とのこと。何があったのかはわかりませんが、唯一変わったのはそのことだけかもしれません。
そういいながらマスターはボサノヴァのレコードを差し替え、違う曲が流れ始めました。レコードを交換したときの「がさっ」という雑音が、なんともアナログっぽくあたたかい。
どこか時間が止まった空間、アナログなボサノバ音楽、そしてマスターと、やっぱりいつ来ても安心感に包まれます。とにかくここのお店は頻繁に通わなくても、長くつきあえるお店なんだなあとつくづく思いました。
こういうお店は大人デートで時間と思い出を共有し、積み重ねていくのが素敵なのかもしれません。
私もここ10年間の出来事に想いを馳せながら、ワインを飲み干して気持ちよく帰ったのでした。
夜総合点★★★☆☆ 3.9