フードメディア・ディレクターの福田美佐子です。
阿佐ヶ谷の友人に誘われて、穴子が美味しいという居酒屋さんへ。
オープンから1年半くらいの比較的新しいお店のようです。
民家を改装した店内は、少し面白い構成。広めのキッチンに沿ってのカウンターと一段上がった奥にテーブル席があります。今回はテーブル席でゆったりと食事を楽しみました。
お通しで出てきたのが「松茸のお吸い物」。
松茸の香りとすだちの爽やかな柑橘が上品で心地よい。
お料理はせっかくなので穴子料理中心に、あとは気になるものをアラカルトで。
活け〆特上穴子(宮城県産)の「お造り(薄造り)」。
生の穴子の美しい白身を塩のみで味付けしていただきます。
穴子独特の土臭さと脂の甘みがあい交わって、なんとも奥深い味。穴子にこだわるからこその一品という感じ。
続いては活け〆特上穴子(宮城県産)の「白焼き」。
こちらは焼いた穴子をわさびをつけていただきます。生より土臭さはなく、脂の旨味がふんわり口の中で広がります。
穴子に合わせたのはぬる燗。こちらのお店は日本酒にとてもこだわっていて、メニューに冷やとぬる燗が選べる上に、種類も豊富なんです。
「亀治好日」
漫画「夏子の酒」のモデルにもなった米「亀の尾」を使った純米吟醸。
甘み、旨味しっかりとしており、温めると酸味が抑えられてとても良い食中酒。お料理を引き立ててくれます。
穴子三部作、最後は活け〆特上穴子(宮城県産)の「蒲焼き」。
甘辛いタレにふっくらと焼きあがった穴子は文句なしの味わい。うなぎよりさっぱりとしつつ、香ばしくジューシーな味わいに舌鼓。
穴子以外も色々美味しそうなお料理があって迷いましたが、まずは「水ダコ瞬間スモーク」を。
スモークした煙を纏わせて、テーブルに持ってきてから蓋を開けてくれます。
フレッシュな水ダコにスモーキーな香りがついて、味に奥行きが出ますね。
日本酒は2つ目もぬる燗で。
「真穂人 (まほと)」
神亀酒造さんの堆肥だけで育成した有機栽培五百万石を使用したお酒。しっかりとした主張があり、燗にすることで旨味が引き立ちます。スモーキーな水ダコにぴったり合います。
そしてオススメ頂いた「青森シャモロック盛り合わせ 5種盛り」。
こだわりの生産者さんから取り寄せているようで、強い旨味に弾力のある食感、肉質がしっかりしているのにきめ細やかな印象もあり、素材の良さを感じることができます。とにかく強くて美味い味!
「特大椎茸グラタン」
火を入れる前の椎茸も見せていただいたのですが、人の顔くらい?のサイズ。
それをじっくりベシャメルソースと合わせて焼き上げたもの。ジューシーで熱々で幸せな美味しさ。
「寒ブリしゃぶしゃぶ」
鍋物が出てきました。今が旬のブリをしゃぶしゃぶで。細切りにされた野菜はとても食べやすそう。
しゃぶしゃぶスープは大根おろしが入ったみぞれスタイル。お出汁にみりんが入って少し甘め。
ここにお野菜を入れてからブリをしゃぶしゃぶして一緒にいただきます。
みぞれスープは野菜やブリとよく味が馴染む上に、余分な脂分がさっぱりするのでとても食べやすい。
野菜の食感も繊細でちょうどよく、なかなか考えられていますね。
家でしゃぶしゃぶをするときに真似したい。
日本酒はこれまたぬる燗で、「RIE STYLE」。
「るみ子の酒」でおなじみの森喜酒造の無濾過特別純米生原酒。
アルコール度は18度と高めで、華やかさと旨味、そして生原酒らしいフレッシュな酸。じんわり美味い系です。
締めは「名物穴子天丼」。
丸ごと1匹の穴子の天ぷらにたっぷりと甘めのタレを絡めて。こちらは人数分にシェアしてもらいました。
ご飯には薬味のネギと甘いタレが染み込んでおり、穴子との味の馴染みがいいですね。
最後までたっぷり穴子を味わえる贅沢が嬉しい。
カウンターには地元のお客さんと店主が軽妙なやりとりをしているのも、とてもいい雰囲気。
これだけこだわりの料理にセンスのある日本酒、好みを伝えてお店の方に選んでもらった方が楽しいと思います。
阿佐ヶ谷は何気に人気店も多く、また個性的。
こちらのお店も単なる居酒屋というよりは、小料理屋的な感じもして大人向けですね。
穴子好き、日本酒好きな方(特にぬる燗好きな方)にオススメです!