フードメディア・ディレクターの福田美佐子です。
「接待」というと個室でというイメージですが、接待まで行かなくても美味しいお料理で雰囲気よく食事をしたいという時ってありませんか?そんなとき私はカウンターで美味しいものが頂けるお店をチョイスするようにしています。
今回も仕事関係の方と新年のご挨拶を兼ねての食事のため、カウンター席がカッコいいこちらを選んでみました。
店内は落ちつく雰囲気で、広いカウンターに凛とした空気感が気持ちいい。すでに「海鮮コース8000円」で予約済みなので、お料理に合わせつつお酒もいただきます。最初は瓶ビールで軽めに乾杯!
コースは先付から。「数の子美味出汁漬、アスパラおひたし、ズワイガニ塩ゆで」、「里芋、蓮根、人参、鮑茸、たもぎ茸、エノキのあんかけ、ちぢみ法蓮」
金箔のお盆に新春を感じさせる盛りつけ、どの素材も美味しいタイミングで調理されているのが分かる仕事のよさ。和食はやっぱりいいと感じさせてくれます。
こちらは夜は接待向けに個室の利用が多いとのことですが、カウンター席のほうが個人的には好きですね。目の前でお料理するところもみれますし、なんといっても大将が日本酒にくわしく、お料理とのマリアージュもばっちり提案してくれます。
そんな大将が先付に合わせてくれたのが「飛露喜 純米大吟醸」。最初からなんだか贅沢な気がしますが、最初だからこそクリアできれいな味わいの飛露喜を味わって欲しいとのこと。やっぱり上質で美味しいお酒ですね。
お造りは「大間本マグロ、対馬のどぐろ、伊豆するめいか」。ピカピカつやつやのマグロ、皮目を炙ったのどぐろ、直前まで生きていたするめいか、どれも新鮮で上質。個性的なのは大根のつま。桂剥きの要領で食べやすい薄さに調整して、お醤油もはねることなくサラダ感覚でいただけます。細部までこだわった仕事がお造りでも感じられます。
お造りには「日高見 超辛口純米」。こちらは定番の食中酒。超辛口はお刺身との相性はばっちりです。
酒肴八寸は「さざえつぼ焼き、牡蠣時雨煮焼、鴨ロース、蛸柔煮、小松菜おひたし、才尾海老からすみ合え、能登もずく酢」。八寸なのですが、かなりボリューミー。個人的には牡蠣がすごく好みですが、どれも一手間ふた手間をかけており、お酒にめちゃくちゃ合います。
八寸には「農口 純米 無濾過生原酒」を合わせてくれました。農口尚彦杜氏のつくる最後のお酒とのことで、キレ味がよく喉あきしない芳醇旨口。八寸のそれぞれのお料理も引き立ててくれる、そんないいお酒。
焼き物は「甘鯛松笠焼き、寒鰆山椒焼き」。甘鯛は鱗がついたまま、パリッと皮目を焼いており、どことなくフレンチのような仕上がりで美味しいんです。寒鰆は脂が乗っていて、白身なのにとってもジューシーで濃厚。ピリリとした山椒もぴったりと合います。
日本酒は山口の「貴 特別純米」。やさしい味わいの中に純米酒ならではの力強さがあり、焼き魚にもぴったり。爽やかな余韻の辛口は後半でもくいくい飲めちゃいます。
食事は「稲庭うどん」でさっぱりと。
食後ですが、ちょっと甘い物があるとうれしいなあとお伝えしたら、追加で苺とみかんをいただきました。築地になかなか出てこないレアな苺とオレンジのようなみかん、最後まで素材にこだわっております。
この日のカウンターは私たち以外おらず、とても居心地よくカジュアル接待ができました。素材にこだわったお料理はもちろんのこと、大将の接客サービスや気遣いが一流でさすが銀座!という印象です。
日本酒も今回頂いたもののほかに、獺祭や十四代をはじめ、紀土や仙禽などもありました。さすが、接待にもぴったりなラインナップです。
カウンター接待の使い勝手もいいのですが、ちょっと贅沢な自分のご褒美にもいいかも!美味しくセンスよく和食をいただきたい時にもおすすめです!
銀座 波奈 (懐石・会席料理 / 銀座駅、東銀座駅、有楽町駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.9