フードメディアディレクターの福田美佐子です。
ここのところマニアックなワインバーをご紹介いただくことが多いのですが、今回も友人に誘われて少々個性的なベテランソムリエさんがいらっしゃるワインバーにお伺いしてきました。
場所は赤坂と乃木坂の間、路地をはいったところにひっそりとそのお店がありました。外観はとてもカジュアルな雰囲気です。
とりあえずこの日は3人でお伺いしたので、アラカルトでお料理をいただきつつ、ワインはソムリエさんと相談することに。最初に出てきたのが「緑いっぱいのグリーンサラダ600円」と「塩豚のハム1000円(くらいだったと思います)」。サラダは3人分に取り分けていただいてもたっぷり。ハムも丁寧でしっかりワインに合うものでシンプルに美味しい。
最初のワインはベテランソムリエさんのお任せで「Alamos Chardonnay 2013 (アルゼンチン)3700円」を。アルゼンチンのワインで、お手頃で美味しいということで近頃人気の高いワイン。輝きのある色調にトロピカルフルーツの香り、樽からくるバニラやナッツの風味など、とにかく味わいのバランスがよいですね。それにしてもボトルの値段もかなりお手頃。
パンは帝国ホテルのガルガンチュワの「パン オ オリーブ」。オリーブの塩分がワインを引き立てる味。ワインとの相性をこだわったチョイスですね。
そして「アクアパッツア 1000円」。お魚は小ぶりですよといいつつも、これで1000円!ワインがメインということで、お料理のお値段は控えめにしているようですが、どれをいただいてもかなりしっかりしたクオリティでびっくり。
2本目は赤のおすすめをいただくことに。ソムリエのマロさんが嬉しそうに「Breca old vine garnacha 2010(スペイン)4500円」を出してくれました。そう、ここからうんちくが始まりました(笑)。2010のパーカーポイントは94点、とにかくこの年のワインはもうなかなか手に入らないけど、自分はこのワインを見つけたときにこれだ!と思って購入してちゃんと保管しているだよetc… とにかくワインを語らせたら止まりません!
そして美味しく飲むための一手間。まずは時間をかけずに開かせるという「エアレーター」でデキャンタージュ。「これ使いたかったんだよ。高いワインだと使わないけど、これくらいならちょうどいいかな」とのこと。ワインを飲ませるまでも、みせてくれます(笑)
そしてこちらがデキャンタージュし終わったワイン。これを今度は2種類のワイングラスで飲み比べ。
1つは通常のグラス、もう一つはリーデルのソムリエシリーズのブルゴーニュ・グラン・クリュグラス(1つ2万円もするもの)で。もちろん、通常のグラスも美味しいのですが、やっぱりリーデルグラス、同じワインなのに味わいが丸くなる!マロさんいわく「このグラスは晩餐会でも使われており、白赤両方に使っているんだよ。」と。そしてどんな高級なお店でもこのグラスは破損したときの損失が大きいので使わないんだよ。ともいっていました。こちらのお店でもだれでも出してもらえるわけでなく、マロさんが認めた方じゃないと出してくれないようです。(私たちはなんだか気に入っていただいたようです。)
赤ワインに合わせてお肉料理もでてきました。まずは「フォアグラソテー1000円」。ソテーされたフォアグラにリンゴの果実味と甘さがベストマッチ!素材の良さが光るフォアグラはシンプルなお料理だからこそ、その美味しさが際立ちます。
そして「黒毛和牛A3サーロイン200g 2800円」。こちらは3人分に取り分けてだして頂いたので1人1000円くらいでしょうか。上品で柔らかな肉質にうっとり。
ソムリエのマロさんは、この日はとても機嫌がよかったようで「今日は特別。」といって「2004 Château Duhart-Milon(フランス)」を出してくれました。第1級格付ラフィット・ロートシルトと同様の手法で作られるポイヤックのワイン。2004年はとてもよい年だったとのことで、他で飲むと数万円するとか。こちらではなんと9000円。えっと、大丈夫でしょうか。。
ぶとう品種はカベルネ・ソーヴィニヨン主体のメルローブレンド。熟した果実の香りがあり、しっかりしたボディに複雑味、そして長い余韻、エレガントで気品のあるワイン。先ほどのブルゴーニュ・グラン・クリュグラスでいただき、本当に心地よくワインを楽しめました。
こういうワイン自体を楽しみたいときは、お料理よりもチーズ。ということで、チーズの盛り合わせもいただきました。
もうこの日はワインを十分にいただいたのですが、マロさんに他にどんなおすすめワインがありますか?とお伺いしたところ、ワインセラーからいろいろだしてみせてくれました。なんだか説明してくれる姿はとても嬉しそうです。
「ドメーヌ・プリューレ・ロック」飲んでみたいけど、おいくらなのかしら?そしてカルフォルニアワインの「レイヴェンズウッド」もありました。
こんなひっそりとした場所に、ワイン好きなら楽しくなっちゃうお店があるとは。何と言ってもうんちくが止まらないワイン仙人マロさんの経験に基づくワインチョイスは絶対的な説得力があります。こういうお店は本当にワインが好きな人が来てほしいですね。少なくともお料理だけ食べて帰るお店ではなく、メインはワインなのでワインのためにお料理をいただくべき。
これだけワインとワインのうんちくとお料理をいただいて、1人9000円弱。ワイン好きなら悪くないお値段かと思います。今度は4-6人くらいでお伺いして、もっといろいろな種類のワインが頂いてみたいですね。