フードメディアディレクターの福田美佐子です。
イタリアンというと一般的にトマトやガーリックなどのイメージがあると思いますが「イタリアにはイタリア料理というのはない。あるのは各地の郷土料理だ」といわれるほど、エリアによって風土に応じたバラエティに富んだお料理が存在します。私も定期的にオステリアトットさんで「イタリア郷土料理の会」と称して、お料理とワインのお勉強をさせていただいているのですが、その違いが分かってくるとイタリアンがどんどん楽しくなるんですよね。
そんなことで今回は友人に勧められて、北イタリアに位置するエミリア・ロマーニャ州の郷土料理がいただけるお店にお伺いしました。お店は六本木の6番出口をあがってすぐ、俳優座の隣にあります。
お店は地下1Fにあり、店内は小さいながらもどこか暖かい雰囲気。店名の「ヴィア エミリア」とはパルマからモデナ、ボローニャへ続くイタリアの美食街道といわれる【エミリア街道】から名付けたとのこと。個人的にも北イタリアのお料理は大好きなので、どんなお料理が頂けるか楽しみです。
お料理はアラカルトの他にコースが2種類。この日はしっかりと食事とワインを楽しみたかったので「シェフのスペシャルコース ¥8,500」に。それに合わせてワインもお任せでペアリングしていただくことにしました。
まず乾杯はシャンパンで!「ドラピエ・ブリュット・ナチュールNV(ピノノワール100%)」。ピノノワールの父と呼ばれているドラピエ、軽やかで上品な味わいがたまりません。
アミューズは「トルッテリ」。最初から北イタリアのパスタで、生地の中にジャガイモとニンニク入っており、リコッタチーズをあわせていただきます。パスタもっちりとした食感と奥行きのある味わいで何個でもいただけそう。
続いては「自家製ハム盛り合わせ」。パルマの生ハム24ヶ月熟成、グラッテロ、自家製プロシュート、自家製モルタデッラ、自家製サラミ、グリッシーニが楽しめます。
とにかくこのハムの盛り合わせはどれもめちゃくちゃ美味しい!お聞きするとプロシュートやサラミなどは長野で自分たちで作っているとのことで、厨房の奥のほうに保管されているのが見えます。もしアラカルトでオーダーする場合も、真っ先に注文すべき一品だと思います。
最初のワインはエミリーア・ロマーニャ州の赤の微発砲「クエルチオーリ ランブルスコ・レッジャーノ/セッコ」 。葡萄はランブルスコ・サラミーノ種、ランブルスコ・マラーニ種。カシスやベリーの可愛らしい香りに、きりりとした辛口、そして程よいプチプチとした微発砲がたまりません。美味しい!
お料理は「長野県産ホワイトアスパラ ボイルドエッグ タレッジオソースとともに」。ホワイトアスパラのシンプルな旨さに、クリーミーなタレッジオソースがぴったり。もっと濃厚にしたい場合は半熟のボイルドエッグを合わせると、また違った味わいに。
つづいてのワインは赤。エミリーア・ロマーニャ州の「ヴァル・ティドーネ・ロッソNV イル・ヴェイ」葡萄はバルベーラ65%、ボナルダ35% 。地元イタリアと日本にしかおろしていないという、レアで素朴なビオワイン。マグナムボトルというのも気取っていなくてまたいい!
つづいては「トリッパ(ハチノス、ギアラ、センマイ)」。トリッパというとトマトでしっかりと煮込まれているイメージですが、こちらのはひと味違います。トマトは最小限に押さえられていて、内蔵のコク深い旨味がかなりの美味。臭みのなく柔らかいトリッパに内蔵が苦手な方でも病み付きになりそうなほど。
ワインはココで白に。ピエモンテ州の「ランゲ シャルドネ モッカガッタ」。フレッシュで清涼感が溢れるシャルドネで、なんとも上品な味わい。ハチミツなフレーバーに柑橘系の酸味が素敵。コクのあるトリッパとの相性はいいですね。
お料理はパスタに。1品目は「空豆とトマトの手打ちリングイネ」。トマトといいつつ少しピリ辛でさっぱりとしたソースがリングイネとの絡みもばっちり。さっぱりとした初夏向きのパスタですね。
ワインはエミリーア・ロマーニャ州の「ノッテ ディ ルナ カ デ ノーチ」。葡萄はミュスカ40%、マルヴァジア40%、スペルゴラ20%。自社畑の有機栽培の葡萄を使い、自然酵母で発酵したこだわりのワイン。ドライで塩っぽさも感じるその味わいは複雑で奥深く、お料理と寄り添っている感じ。単品でも美味しいと思うのですが、お料理と合わせるとよりワインの美味しさが引き立ちます。
パスタ2品目は「リコッタチーズとほうれん草のラビオリ」。こちらも手打ちとのこと。とにかく美味しいの一言。パルミジャーノもたっぷりかかっており、エミリア・ロマーニャらしい一品。
そしてメインは「ピエモンテよりロバのロースト 自家製サルシッチャ」。ロバのお肉をいただくのは初めて!火入れがばっちりのレアな赤肉はかなりさっぱりと上品。血なまぐささもないですし、牛や馬のような特有の風味もなく、かなり食べやすい。胃の負担も少ないので、胃弱な私ももたれずに最後まで美味しくいただきました。
お肉に合わせていたいただいたワインはトスカーナ州の「キャンティ・クラシコ ラ・ポルタ・ディ・ヴェルティーネ」。フレッシュな赤果実の果実味にしっかりとした酸とタンニンのバランスが素敵。今まであまり飲んだことがないような、キャンティだなと思ったら、2006年スタートのワイナリーなんですね。コレは覚えておこう!
最後は「デザートの盛り合わせ」。パンナコッタ、ティラミス、ヘーゼルナッツのババロア、そしてズッパイングレーゼとかなり本格的なイタリアなデザートメニュ。どれも手抜きがなく美味しい。個人的にはヘーゼルナッツのババロアが一番好きでした。
食後のグラッパはヴェネト州の「レチョート ディ ガンベッラーラ ラ ビアンカーラ」。ガルガーネガ100%。葡萄の甘さがほんのりと心地よい、上質な味わい。やっぱり甘いグラッパは好きだなあ。
とにかくお料理は本場さながらのクオリティと味。そしてお料理を引き立ててくれたのが、イタリアのビオワインたち。こちらのソムリエの方はワインセンスがいい上に、お料理との合わせ方もお上手。料理とワインのアッビナメントに脱帽でした。
この日は結局飲み過ぎて、一人1,5000円弱くらい。コース以外にもアラカルトもあるようですので、気軽につまんで飲んでという使い方もできそう。久しぶりにイタリアンでめっちゃ好みのお店を見つけました。ワイン好きの方、特にイタリアのビオワインがお好きな方にお勧めです。
夜総合点★★★☆☆ 3.8