■「熟成肉」って知ってる?
最近牛肉の「熟成肉」が注目を浴びている。メニューとして新たに追加するお店や、専門として扱うお店も増えてきている。肉を熟成する?という印象だが、実は肉もワインと同様寝かせることで旨味が増して美味しくなることが知られている。この話題の「熟成肉」とはどんな肉なのか?その魅力について説明していこう。
■「熟成肉」の熟成方法は2種類
基本的に肉の熟成方法には「ウエットエイジング」と「ドライエイジング」との2種類ある。
「ウエットエイジング」とは、肉の乾きをおさえた状態でのエイジング方法で、布で巻いたり、真空パックなどの状態のまま、0℃〜2℃の低温で15日〜25日程度寝かせる方法だ。私たちが日常スーパーなどで購入している肉に用いられている一般的な方法である。
一方「ドライエイジング」とは、赤身肉の多いアメリカで行われている方法で、肉の塊(枝肉状態)を専用の冷蔵庫で20日〜時には2ヶ月寝かせる方法だ。その期間中、冷蔵庫内は有害な菌が繁殖せず肉が凍らないギリギリの温度3〜5℃をキープし、湿度は60℃前後に設定し、風を送りながら肉を熟成させ旨みを凝縮させるのである。
■主流となっているのは「ドライエイジング」
ちなみに世間で「熟成肉」と呼ばれているのはドライエイジングで熟成された牛肉のことである。以前は霜降り和牛が人気が高かったのだが、その脂の多さで胃がもたれたり健康志向ではないということで、近頃は今ひとつ勢いが無い。
そこで次に注目されたのが脂肪が少なく、鉄分豊富でヘルシーな牛肉の赤身肉。もともとドライエイジングに適しているのは霜降り肉より赤身肉であり、ヘルシーなお肉をより美味しくするドライエイジングにより「熟成肉」が話題となっているのである。
■「熟成肉」の味はいかに?
美味しいといわれている「熟成肉」とはどんな味だろうか。一般的には熟成により柔らかさと旨味が増しクリーミーで甘味がある肉になっている。そして熟成香が加わり焼くとナッツのような香ばしさが感じられ、独特の香りも感じることができる。
実は「熟成肉」の味は千差万別。牛の種類や生育方法、部位、熟成方法、焼き方などそれぞれの要素が組合わさることで様々に変化する。一言で「熟成肉」といっても、作り手のこだわりの数だけ美味しさが広がる奥深い世界なのである。
■おすすめは「厚切熟成肉」
そして「熟成肉」を美味しくいただくには、実は焼き方がとても重要となる。ドライエイジングの過程で水分がとんでいるため、火の通りが遅く火入れが難しい。従って美味しくいただくのであれば、最初は熟成肉に熟知したお店でいただくのが確実だろう。
もし専門店でいただくのであれば、おすすめは「厚切熟成肉」。塊の熟成肉を火入れに気をつけながら30分以上もかけて焼き、豪快に厚切りスライスして提供された肉は食べ応え十分。そして柔らかい肉質の内部には旨味が凝縮されて何ともいえない肉のうまさを体感できる。この「厚切熟成肉」を味わったら普通のお肉では物足りなくなるかもしれない。
作り手たちの叡智によって肉のポテンシャルを最大限に引き出した「熟成肉」。ここまでいろいろと書いてきたが百聞は一見にしかず、是非ともその味を体感してほしい。
<オススメな熟成肉のお店>
→筆者がオススメするお店はこちら。
厚切り肉の美しさと美味しさにうっとり!お肉好きなら一度はいってみる価値ありです。@炭焼喰人 (スミヤキショクニン)センター南
そして30ガイドさんに東京近郊で熟成肉をいただけるお店の紹介がありますので、気になる方は実際に足を運んでみてください。
→東京・横浜の熟成肉がすごいお店~よく寝た肉は美味い!~